【連載】Yumie Times + vol.9 《I feel under the weather》
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2016/05/17

【連載】Yumie Times + vol.9 《I feel under the weather》

スタイリスト風間ゆみえさんが、ファッションからライフスタイルまで、暮らしのなかで、ふと心ときめく「あの瞬間」をお届けします。今回のテーマは「I feel under the weather」。

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夏に着たいワンピース


週末はずっと風が吹いていた。
心地よくて心地よくて、抱えるのがやっとの大きなクッションをおひさまの下に置いて身体を預けたら、手に持っていた本をくしゃっとして眠っていた。
すっかり勢いを増した太陽の熱に温められ過ぎた背中が熱くて目を覚ますと、足もとにはマイロがくっついて寝息を立てている。
ふぅ… 伸びをしながら寝返り打つと風が頬を撫でる。気持ち良さと同時にふと考えていた、風が頬を撫でるのを良く感じるけど、夏の終り、秋の始まりに吹く風は髪を揺らして(なびかせる)、春の風は頬を撫でて、夏の風はスカートを膨らませる、もうすぐ、夏ね。
今年の夏はどんなワンピースを買おうかしら?
色は、レモン色、、紫色は花びらのような色、
風を孕む軽やかなスカートがいいな。
私が動くとマイロは眩しそうに目を細めて伸びをした。てくてくと2、3歩、歩くとクンクンと空の匂いを嗅いでいる。
なんとも穏やかな週末を過ごしていたのにね。


月曜日
今朝は、ベッドから起きられないでいた。
久しぶりに体調が良くない。
ブラインドから漏れる陽を無防備に浴びながらいつまでもパジャマで眠った。
風は変わらず吹いていて、ただただそれを求め寄り添うように目を閉じて眠っていた。
陽の光が色を変え始めた頃、ようやく目を覚ませば、枕元にくしゃくしゃになった本を開いて活字を追う。
物語を活字だなんて言うように、私の頭は何にも受け入れない具合にもやもやしていた。
あっと言う間に読み終えてしまいそうな短編集でさえ、視覚で読みながら心はどこかに出かけている、なんて器用な、と思いながらも、無意味なそれに気は晴れないでやっぱりもやもやしていた。
陽の光が紅く西へ沈み、南の空に白い月があった。木々は黒く影絵のように姿を変え今日があっと言う間に終ろうとしている。
何もなかった、と言えばがっかりしてしまう、調子の良くない気の滅入った1日だけど、
夏に欲しいと思うワンピースに思いを馳せたことをあげたらちょっぴり楽しい1日だと言える。
だから、明日、ワンピースを探しに行こうかな。
夏に着たいワンピースを探しに行こう。

風間ゆみえ

EDITOR / 風間ゆみえ

独自のファッションセンスで、ファッション誌はもとより、ブランドのディレクションまで活躍の場を広げ、人気タレントやモデルの熱い支持を集めるスタイリスト。そのセンスは、時にファッションの枠を越え、生き方、フィロソフィなど、生み出す世界観そのものが、年齢を問わず多くの女性を魅了してやまない。著書は『LIKE A PRETTY WOMAN』(スタイライフ)、『Lady in Red』(扶桑社)。

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