ファッション関連の出版社が持続可能なファッションの未来について議論するなど、このパンデミックな事態は環境問題に一石を投じたと感じます。資本主義が生み出した大量生産、大量消費、大量廃棄のサイクルを見直し、まだ全てが完璧ではないけれど環境に配慮した取り組みを進めているハイブランドをご紹介します。
ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)
12歳からデザインの勉強を始め、カール・ラガーフェルドの後継者としてクロエのチーフ・デザイナーを経た後、2001年に自分の名を冠したブランドを設立。ハイファッション業界でレザーを使用しないなど初めて環境に配慮したブランドとして人気を集めました。
“「ファッションはいつもモダンであるべき。一方でファッション産業では長い時代エコフレンドリーでないものや不必要なものを使い続けている。それはとっても時代遅れだと思っているの。」ー ステラ・マッカートニー”
レザーやファーを一切使用せず新しい代替素材の開発、最新テクノロジーの活用、原始林や絶滅の危機に瀕している森林の保護など、私たちが住む母なる地球、そして美しくサステナブルな世界にふさわしい方法で高級品を世に送り出すステラ マッカートニー。資源には限りがあるということを強く訴え、自社ブランドだけでなく、ファッションの未来にも役立つようなテクノロジーを日々模索しています。
ボッテガ ヴェネタ(Bottega Veneta)
卓越したクラフツマンシップにより編み上げるモチーフ「イントレチャート」が人気のイタリアのラグジュアリーファッションブランド。2018年、32歳の若さで新クリエイティブ・ディレクターとして就任したダニエル・リーがそのイントレチャートをモダンに再解釈した「マキシイントレチャート」を発表するや否やファッショニスタの間で更に人気が加速するなど、1966年の創業以来今尚進化し続ける老舗メゾンです。
“ボッテガ・ヴェネタはサステナビリティを重要視しているブランドだ。レザー製造までのプロセスにおいても、サステナブルな基準を自らに厳しく課している。たとえば、動物のスキンをレザーに仕上げる際、欠かせない工程“なめし”においてクロムフリーを最大限に活用する準備を整えている。また染色についても、水溶染料を使用し、レザーはについては、食肉に使用した動物の皮を利用。”
明確なトレーサビリティを示すことで、共に働く職人たちが気持ちよく働けることに配慮する姿勢。そして皮革製品が辿ってきた足跡を明確に示すことで、消費者にとって長く愛することができる商品になるのです。
サステナブルな取り組みは、素材への配慮だけでなく多岐に及びます。アトリエには19世紀からイタリア・ヴィチェンツァ地方に残る貴族の建築物を活用。日射量の変化に応じて調光されるシステムはソーラーエネルギーでまかない、庭園のメンテナンスに使われる水は雨水をタンクに溜めたものを灌漑して使用するなど最新のエコシステムが導入されています。そして、世界で最も厳しい環境評価制度LEEDでファッション業界では初となる最高位のプラチナ認証も取得しました。
ガブリエラ ハースト(Gabriela Hearst)
ウルグアイ出身でモデルとしての経験も持つニューヨーク在住のデザイナー ガブリエラ・ハーストが、2015年秋冬シーズンよりスタートしたブランドです。シンプルかつ洗練されたモダンリゾートなコレクションは、セレブリティーやファッショニスタから瞬く間に人気を集めました。
“「真の品質を知ると、情熱を感じます。お客様はその情熱の裏側に、良い品質と長持ちする製品を作ることへの配慮と誇りを感じることができると思うのです。」 ー ガブリエラ・ハースト”
洋服には、デッドストックなどエコフレンドリーな素材を使用。サプライチェーンには、気候変動に配慮した再生可能エネルギーを使用している企業を利用。「持続可能性」と「長期的な視点」という2つの価値観に基づき活動する唯一無二のブランドです。
服作りはデザイナーの傲慢ではなく、「なぜその商品ができたのか」ということを消費者にも伝える義務があるという一貫した考えは、これからのファッションにより問われてくる姿勢だと確信しています。